若手卓越支援部門
工学研究科所属の若手研究者の研究活動支援を実施し、次世代を担う研究リーダーの育成を行います。特に卓越した若手研究者に対して、独立した研究環境や研究交流の場を提供し、若手研究者が高いモチベーションの下で最先端の研究活動や、先進的な研究分野の開拓をできるよう支援します。 本部門は、PIとして世界レベルの研究領域開拓を目指す「若手卓越教員」と、優れた業績を有する「次世代リーダー教員」から構成されます。
若手卓越教員
筋肉・受容器・神経デバイスの超分散化で切り拓く無脳ロボティクス <2021年度採択>

ミクロ空間から解き明かす亀裂岩体のふるまいと長期性能 <2022年度採択>
世界三位の地熱資源大国日本にとって地熱発電は魅力的な再生可能エネルギーであり、地熱発電を促進する技術群の確立・実用化が渇望されています。特に、地下の高温岩体中に流体の貯留層となる亀裂網を人工造成し、地熱エネルギーの継続的抽出を狙う貯留層造成型の地熱開発技術には大きな期待が寄せられています。本研究では、地熱貯留層の造成~状態・性能の長期変化まで、ミクロな亀裂内空間も含め正確に予測する数値解析技術を開発し、持続可能な地熱エネルギー抽出をもたらす貯留層の確実な設計・造成を可能にします。これにより、貯留層造成型地熱開発技術の実用化をもたらし、膨大な地熱資源をフル活用可能な地熱大開発時代到来へ繋げます。

発生と疾病のバイオフォトメカニクス <2022年度採択>
本研究の目的は、生体内における細胞組織の発生とその疾病化に関わる硬さの役割の解明を目指します。まずは、硬さが計測できる原子間力顕微鏡に対して、蛍光や干渉シグナルを同時に可視化できるシステムを構築しました(J Phys Chem Lett 2022(suppli. cover) & 2024, Bioconj Chem 2023(Cover), PNAS 2024)。本システムを用いることで、多様な臓器疾病化に関わる硬さの役割を次々解明してきました(Cell Stem Cell 2015, Stem Cell Reports 2018, iScience 2022, Mucosal immunology 2023, bioRxiv 2025)。今後も、テクノアリーナ内でも連携を強め、バイオ・フォトニクス・メカニクスの学問が融合した新領域を創出します。

芳香族クラスターの特性を活かした触媒機能開拓と応用研究 <2023年度採択>
プラスチック・医薬品・ディスプレイ・染料・衣料品など、私達の生活は様々な「有機化合物」によって支えられおり、こうした多様性の原動力となるのが有機分子そのものの構造多様性です。私は、かご型構造を持つクラスター分子に特有の「三次元芳香族性」という性質に着目して、これを化学反応の駆動力として組み込んだ新しい触媒設計コンセプトの実証&実用化を目指します。これまでの手法を凌駕する、高効率かつ高選択的な分子変換手法を確立することで、化学産業の省資源化&省エネルギー化を実現し、持続可能な発展に貢献することが期待できます。

「分活」を実現する分子技術の創出 <2023年度採択>
本研究は、粗水素(H2とCOやCO2の混合ガス)が未開拓な工業資源であることに注目し、粗水素を直接的に利用した有機化合物の水素化反応の開発に取り組みます。特に、水素化ターゲットとなる有機化合物として芳香族複素環化合物を用いることで、粗水素ガスからH2を直接的に分離・貯蔵・運搬する革新的技術の確立を目指します。つまり、【粗水素→高純度水素→H2貯蔵・運搬】という流れの既存技術に対して【粗水素→H2貯蔵・運搬】という新たな技術を検証します。これにより、バイオマスを含む炭素資源を効率的かつ安定的に利用した水素社会の実現に貢献します。

典型元素とπ電子の協奏が拓く革新的物質機能材料の創製 <2024年度採択>
『典型元素』と『π電子』はいずれも、分子性物質における重要な機能源です。近年、革新的な機能性物質群の基盤開発が強く希求されていますが、両者が有する高い潜在能力が物質科学全般に波及し、有効活用されてきたとは言いがたいのが現状です。複数の機能源を併せ持つ系も開発されてきましたが、それらは各機能が別個に作動するか、主たる機能に対して補助的な役割を果たすにとどまっており、新機軸創出には至っていません。このような現状を打破すべく、本研究では、2つの機能源が協奏的に作用することで初めて発現する未踏の電子状態、物性、ならびに反応性の探索と、それに基づく新機能の開拓を目指します。本研究を通じて、未来社会に資する革新的な物質機能材料の創製と、その合理的な設計指針の確立に貢献します。

材料変形挙動の可視化を通じた革新的ものづくり技術の創出 <2024年度採択>
あらゆる産業の基盤である「ものづくり」の分野においては、材料の難加工化や加工の高速化・高荷重化への対応、さらには環境負荷低減に対する要求など、高度化・複雑化が急速に進んでおり、これらを解決するためのブレイクスルーが強く求められています。そこで本研究では、多くの要因が相互に影響しあう極めて複雑なプロセスである加工現象を“可視化”することによって、現象そのものを深く理解し、革新的なものづくり技術を創出することを目指します。これらを通じて得られた知見は、表面化学、トライボロジー、弾塑性学といった分野との学際的な融合・発展も大いに期待できると考えています。

論理ゲートに基づく細胞内インテリジェント重合法の確立 <2024年度採択>
生化学的シグナルに応答した、タンパク質や多糖などの種々の機能性生体高分子の合成反応は多岐にわたる生命機能の制御において重要な役割を担います。本研究では『多重論理ゲートに基づいた生化学的シグナル応答性インテリジェントPET-RAFT(iPET-RAFT)』によって特定の細胞内や小器官内選択的な合成高分子の細胞内重合を世界に先駆けて実現し、細胞機能操作のための新たな方法論として確立します。本技術ならびにそのバイオテクノロジーとしての応用に関する未踏の学理を開拓・体系化し、新たな学術領域『細胞内高分子工学』創発に向けた基盤とします。

微視的輸送現象論の開拓 <2024年度採択>
原子・分子スケールの熱流体輸送現象は現代社会の発展に寄与する微視的なものづくりにおいて重要ですが、その描像を的確にとらえ制御することに関しては課題が多く残されています。本研究では,巨視的な熱流体力学における輸送現象論の考えを根底から変革し、原子スケールの本質的に非平衡な過程において熱流体力学的な場の保存則に基づく輸送現象論の創出を行います。そして、エネルギー科学発展の根幹である材料の物性や熱流体現象(エネルギー輸送、濡れ、相変化現象等)に関して、創出した輸送現象論に基づき解明する新たな学術を構築することに挑戦します。

骨基質構造の階層的規則性を生み出す細胞機能の新原理 <2024年度採択>
材料工学の立場から原子レベルで生命現象を捉えることで、疾患や外傷で失われた生体機能を回復させるための新しい材料設計・開発に取り組んでいます。とりわけ、遺伝子やタンパク質などのナノ生体分子から、細胞、組織、臓器にいたるまでの多階層3次元生体組織材料を工学的に操作し、個体レベルで生体機能を制御するための新しい材料開発や最先端計測に基づくバイオ工学融合研究を展開しています。金属3Dプリンティングや材料先端加工を駆使した細胞・生体制御と、材料/生体界面での機能発現メカニズム解明を両輪として取り組み、材料工学の観点から世界の医療技術革新を実現するための最先端研究を進めています。

次世代タンパク質間相互作用計測プラットフォームの創出 <2024年度採択>
タンパク質が生体分子と織り成す相互作用を理解することは、生命機能の基本原理の解明と、それに基づく薬剤やバイオテクノロジーツールの開発に繋がります。しかし、従来法による相互作用計測は感度や並列性に欠け、相互作用の全貌はブラックボックスのままです。私はこれまで、ナノポアセンシングと呼ばれる分析技術を利用して、タンパク質のアミノ酸配列や翻訳後修飾などを読み取る手法を開発してきました(Nature 2024)。本研究では、この技術を応用してタンパク質間相互作用を大規模並列的に1分子計測する方法論を確立し、プロテオミクスの変革に挑戦します。

大規模言語モデルを活用した革新的かつヘテロな群ドローンアーキテクチャの創成 <2025年度採択>
災害時・平時を問わず、複数のドローンが自律的に協調して、多様なタスクを遂行するスマートなドローンシステムの開発を目指します。具体的には、大雨・強風下で自律飛行する技術、排水ホースなどの柔軟物を複数機で協調運搬する技術、鳥などの外敵を避けてフォーメーション飛行する技術、広範囲なエリアを計測してデジタルツインとして活用する技術、大規模言語モデルを活用し、想定外の事象が発生した際にチーム構成を動的に再編成する技術を複数の大学や企業と協力しながら開発します。また、地上の建機とも連携することで、建設業、農業、林業、インフラ点検など、さまざまな分野への貢献を目指します。

半導体中のキャリア挙動を可視化する電子・発光融合分光法の開拓 <2026年度採択>
次世代半導体デバイスを実現するためには、デバイス駆動時におけるキャリアの振る舞いを正確に把握し、如何に自在制御するかがキーテクノロジーとなります。あらゆる種類の半導体デバイスの微細化が急速に進む近年、表面露出にともなう歪・電子状態の変化、プロセスダメージや各種表面・界面構造の影響が顕在化し、半導体中のキャリアが意図せず失活することが課題となっています。本研究では、半導体最表面でのキャリア挙動を評価する電子分光と、試料深部の情報を内包した発光分光を融合した新たな分光法を確立することで、従来困難であった、『表面(界面)とバルク成分を切り分けた極限的なキャリア挙動の可視化技術の開拓』に取り組みます。

非ベンゼンπ電子系に宿る双安定な電子状態の創出と機能探索 <2026年度採択>
π電子系は有機材料の基本単位であり、ベンゼン環で構成された分子系が主役となってきました。一方、本研究では5員環、7員環といった非ベンゼン骨格に着目します。非ベンゼンπ電子系は、複数の電子的性質が同一の分子骨格に共存する双安定性を持ち、既存の系では実現できない性質発現が期待されます。しかし具体的な実在分子系の提案とその性質解明は、合成の難しさが障壁となって大きな未踏課題です。本研究では、双安定な電子状態を実現する設計指針の確立、統一的な合成モデルの構築を通じ、最終的には次世代機能性材料・反応試剤としての活用に挑みます。

半導体製造を支える持続可能なものづくり技術の開発 <2026年度採択>
Society 5.0を支える次世代半導体デバイスには高度化や低コスト化に加え,製造プロセスにおける環境調和が強く求められています。半導体製造では化学機械研磨(CMP)が広く用いられていますが,砥粒による結晶損傷や砥粒残留に起因する歩留まり低下,さらに酸化剤や砥粒の大量使用による環境負荷やコスト増大が大きな課題となっています。本研究では,水や有機物など環境負荷のない素材のみを用い,砥粒や酸化剤を一切使用しない新しい表面研磨プロセスの開発に取り組みます。ウエハ製造からデバイス製造まで適用可能な低環境負荷かつ高精度な研磨技術の実用化を通じて,持続可能な半導体製造基盤の構築を目指します。

高速入れ替わり可能な蛍光ラベル化技術によるタンパク質運命のモニタリング <2026年度採択>

超高強度X線レーザー科学の開拓 <2026年度採択>

