『IoC型リ・スキリング教育エコシステム構想』とは

Industry on Campusとは?

大阪大学では企業の研究組織を「協働研究所」「共同研究講座」として学内に誘致しています。その数は国内の大学として規模が大きく、全学で115件、このうち工学研究科だけで32件と有数の規模を誇ります。
化学、機械、人材派遣、メーカーと多様な企業が参画しており、「Industry on Campus」と称する学内での産学共創活動を推進し、基礎研究から応用研究まで多面的な活動を展開しています。
学内での設置により偶発的な知的交流や分野横断型議論が生まれやすく、研究・教育・事業創出が連動する共創拠点として機能している点が大きな強みとなっています。教育プログラムも企業ニーズと直結した内容へと高度化でき、本構想の強みともなっています。


Industry on Campus型 リ・スキリング教育エコシステム

 産学間の連携の上に成り立つ『Industry on Campus型リ・スキリング教育エコシステム』として設計し、令和6年度補正予算リカレント教育エコシステム構築支援事業に採択され、令和7年7月より活動を展開しています。

産業界から社会人を大学に派遣し、大学が受け入れ教育を実施する従来型のリカレント教育に加えて、大学研究者と共研が連携して共同開発した教育プログラムを他の共研の所属研究者、出資元の企業の社会人も受講可能となっており、複数の企業から社会人が大学で学ぶ循環型モデルを実現しています。
大学は最先端の学術知を提供し、企業は実課題やニーズを提示することで、相互補完的な関係を構築しています。さらに、教育成果を企業側での事業成長や人材配置に活用することで、学修と実務が関連する構造を目指しています。


組織図

工学研究科長を中心に、研究科長直下の組織である工学研究科附属フューチャーイノベーションセンター(CFi) 教育力企画領域が本構想の窓口を担当しています。その他、リ・スキリング教育に関連する全学組織として大阪大学SLiCS(Student Life Cycle Support Center)及び学際大学院機構とも連携しています。Industry on Campus型 リ・スキリング教育エコシステム体制


IoC型リスキリング事業 運営委員会

田中 敏宏大阪大学 統括理事・副学長
大政 健史大阪大学 執行役・副学長、工学研究科長・工学部長
倉敷 哲生大阪大学大学院工学研究科 教授
(ビジネスエンジニアリング専攻)
(附属フューチャーイノベーションセンター センター長)
中川 貴大阪大学大学院工学研究科 教授
(ビジネスエンジニアリング専攻)
安田 誠大阪大学大学院工学研究科 教授(応用化学専攻)
津島 将司大阪大学大学院工学研究科 教授(機械工学専攻)
谷口 研二大阪大学大学院工学研究科 特任教授
(附属フューチャーイノベーションセンター)
難波 美帆大阪大学大学院工学研究科 准教授
(ビジネスエンジニアリング専攻)
井上 直生大阪大学大学院工学研究科 特任研究員
(ビジネスエンジニアリング専攻)
飯田 順子大阪大学 島津分析イノベーション協働研究所 所長・特任教授
松村 浩一大阪大学 パナソニック基盤協働研究所 副所長・招へい准教授
渡辺 恵郎大阪大学 パーソル高度バイオDX産業人材育成協働研究所 副所長・招へい准教授
土肥 武パーソルテンプスタッフ(株)
井上 直生大阪大学大学院工学研究科 特任研究員
(ビジネスエンジニアリング専攻)
清水 沙理大阪大学大学院工学研究科 技術派遣職員
(附属フューチャーイノベーションセンター)
藤原 強大阪大学大学院工学研究科 特任専門職員
(附属フューチャーイノベーションセンター)
鮫島 真里那大阪大学大学院工学研究科 事務補佐員
(附属フューチャーイノベーションセンター)
廣中 江美子大阪大学大学院工学研究科 派遣職員
(附属フューチャーイノベーションセンター)

プログラムの特徴

バイオ×REACH×ビジネスデザイン

REACH (Recurrent & RE-skilling through Academic and Industry Collaboration for Higher Education)の理念の下、バイオDXとビジネスデザインを融合した教育プログラムを開発

リカレントニーズの高いバイオ・ヘルスケア分野において、創薬や医療、バイオ由来製品等に資するバイオDXと、産業界からニーズの高い事業構想力(事業のベースとなる思考力・企画力等)のビジネスデザインに関する教育プログラムを提供。


なぜバイオなのか?

これまで国内のバイオ産業界では「試行錯誤の繰り返し」や「経験と勘」に頼る研究を進めてきた結果、その低い成功確率のため、企業経営陣は専ら海外からバイオ技術の導入を進めてきました。
この悪循環を根本的に打開する切り札が、DXを駆使した科学的な研究開発の方法です。世界を見渡すと、最新のバイオテクノロジーを使った革新的な創薬(承認薬)の多くは、小さなバイオテック(創薬企業: Small Biopharma)で開発されています。


AI技術を使ったバイオDXによる研究開発は、極めて重要です。具体的には、薬と治験のビッグデータから機械学習を使うことで、着目する症状に効く薬の共通の官能基などを見出します。その官能基などを含む試薬にターゲットを絞り込むことで、創薬研究における試行錯誤の回数を劇的に減らし、製品開発の期間の短縮が見込まれます。
特にバイオの分野では、AI技術(機械学習)を駆使して、膨大な数の原材料の中から可能性の高い材料を絞り込み、数少ない実験で成功に導く研究開発が本流になり始めています。この潮流にいち早く乗り移る高度なバイオ人材の育成が我が国のバイオ産業の発展には欠かせません。
2024年ノーベル化学賞にはDr. D.Baker, Dr. D.Hassabis, Dr.J.M.Jumperによる、ヒトの体の重要な構成成分であるタンパク質について新たなタンパク質を計算によって設計して人工的に作る技術と、タンパク質の構造を予測するAIモデルの開発が対象となっています。バイオDXの分野でコンピューターサイエンスが主眼の研究での受賞者が現れたことは、これからのバイオ研究の潮流を予見するものと言えます。