若手卓越支援部門

工学研究科所属の若手研究者の研究活動支援を実施し、次世代を担う研究リーダーの育成を行います。特に卓越した若手研究者に対して、独立した研究環境や研究交流の場を提供し、若手研究者が高いモチベーションの下で最先端の研究活動や、先進的な研究分野の開拓をできるよう支援します。 本部門は、PIとして世界レベルの研究領域開拓を目指す「若手卓越教員」と、優れた業績を有する「次世代リーダー教員」から構成されます。

若手卓越教員

筋肉・受容器・神経デバイスの超分散化で切り拓く無脳ロボティクス<2021年度採択>

増田 容一

助教

増田 容一

附属フューチャーイノベーションセンター/機械工学専攻

研究紹介HP 研究室HP

我々が小道を歩くとき、ロボットのように毎秒何百回もの最適化計算を行うでしょうか?予測不可能な無限定環境をモデル化・記述し尽くすことは困難であり、今後訪れるであろう実世界へのロボット大進出時代のためには、詳細モデルのみによる頭脳先行型の制御戦略を脱却する必要があります。本研究では、動物末梢に備わる計算なき運動知能を理解して実装するため、機械式の筋肉・受容器・神経デバイスをロボット全身に埋め込み、上位脳からのわずかな指令により全身の反射系を統御する新たなロボット身体設計学と制御学を創成します。

2023/11/2 テクノアリーナ若手卓越教員 増田 容一助教に「テクノアリーナ准教授」の称号を授与

ミクロ空間から解き明かす亀裂岩体のふるまいと長期性能<2022年度採択>

緒方 奨

助教

緒方 奨

附属フューチャーイノベーションセンター/地球総合工学専攻

研究紹介HP 研究室HP

世界三位の地熱資源大国日本にとって地熱発電は魅力的な再生可能エネルギーであり、地熱発電を促進する技術群の確立・実用化が渇望されています。特に、地下の高温岩体中に流体の貯留層となる亀裂網を人工造成し、地熱エネルギーの継続的抽出を狙う貯留層造成型の地熱開発技術には大きな期待が寄せられています。本研究では、地熱貯留層の造成~状態・性能の長期変化まで、ミクロな亀裂内空間も含め正確に予測する数値解析技術を開発し、持続可能な地熱エネルギー抽出をもたらす貯留層の確実な設計・造成を可能にします。これにより、貯留層造成型地熱開発技術の実用化をもたらし、膨大な地熱資源をフル活用可能な地熱大開発時代到来へ繋げます。

nm/サブTHz領域における超音波技術の創出<2022年度採択>

長久保 白

助教

長久保 白

附属フューチャーイノベーションセンター/附属精密工学研究センター

研究紹介HP 研究室HP

私はフェムト秒パルスレーザを用いて波長nm/周波数サブTHzオーダの超音波を操る計測技術を開発します。超音波は物性評価・イメージング・センシングなど様々な科学技術に応用されています。しかし従来は波長が長いためナノスケールでの計測には不向きでした。そこで私はフェムト秒パルスレーザを用いて可視光よりも波長が短い超音波を操り、更にナノスケールで焦点化する極限超音波技術の創出を目指します。この究極の超音波計測技術はnmオーダの半導体やタンパク質などの構造・力学特性・形態変化を計測することができるため、幅広い分野における科学技術の発展に大きく貢献します。

発生と疾病のバイオフォトメカニクス<2022年度採択>

松﨑 賢寿

助教

松﨑 賢寿

附属フューチャーイノベーションセンター/物理学系専攻

研究紹介HP 研究室HP

本研究では、オルガノイド(臓器の種)の発生を最大化する“硬さ”の役割を解明するべく、独自の光計測・光制御技術を組み合わせたシステムを構築します。本システムにより、”身近な物理量である硬さ”で培養法を統一化して、誰もがオルガノイド培養のできる未来に繋げます。さらに、臓器恒常性が破綻して起こる疾病化の機序についても、硬さの役割を解明します。最近では、細胞表面の超解像度での光計測法(J Phys Chem Lett 2022& 2024)、細胞集合の制御法(iScience 2022、Bioconj Chem 2023)を開発しました。今後も、テクノアリーナ内でも連携を強め、バイオ・フォトニクス・メカニクスが融合した新領域を創出します。

2023/3/8 テクノアリーナ 若手卓越教員 松﨑賢寿助教の研究成果をプレスリリースしました。

励起一重項と三重項のエネルギー逆転の創発<2023年度採択>

相澤 直矢

助教

相澤 直矢

附属フューチャーイノベーションセンター/応用化学専攻

研究紹介HP 研究室HP

フントの規則より、同一電子配置において、最大のスピン多重度を持つ状態が最低エネルギーを持ちます。よって、励起三重項は一重項よりエネルギーが低く、それらのエネルギー差ΔESTは正であると知られています。本研究では負のΔESTを持つ有機発光材料群を開発し、希少金属フリーの高性能有機ELデバイスを実現します。さらに、多数の電子配置から創発する負のΔESTの基礎科学を開拓し、有機ELデバイス性能の飛躍的な向上に繋がる学理を確立します。

芳香族クラスターの特性を活かした触媒機能開拓と応用研究<2023年度採択>

西井 祐二

准教授

西井 祐二

附属フューチャーイノベーションセンター/応用化学専攻

研究紹介HP 研究室HP

プラスチック・医薬品・ディスプレイ・染料・衣料品など、私達の生活は様々な「有機化合物」によって支えられおり、こうした多様性の原動力となるのが有機分子そのものの構造多様性です。私は、かご型構造を持つクラスター分子に特有の「三次元芳香族性」という性質に着目して、これを化学反応の駆動力として組み込んだ新しい触媒設計コンセプトの実証&実用化を目指します。これまでの手法を凌駕する、高効率かつ高選択的な分子変換手法を確立することで、化学産業の省資源化&省エネルギー化を実現し、持続可能な発展に貢献することが期待できます。

「分活」を実現する分子技術の創出<2023年度採択>

星本 陽一

准教授

星本 陽一

附属フューチャーイノベーションセンター/応用化学専攻

研究紹介HP 研究室HP

本研究は、粗水素(H2とCOやCO2の混合ガス)が未開拓な工業資源であることに注目し、粗水素を直接的に利用した有機化合物の水素化反応の開発に取り組みます。特に、水素化ターゲットとなる有機化合物として芳香族複素環化合物を用いることで、粗水素ガスからH2を直接的に分離・貯蔵・運搬する革新的技術の確立を目指します。つまり、【粗水素→高純度水素→H2貯蔵・運搬】という流れの既存技術に対して【粗水素→H2貯蔵・運搬】という新たな技術を検証します。これにより、バイオマスを含む炭素資源を効率的かつ安定的に利用した水素社会の実現に貢献します。

低次元ナノ材料を可能にする精密無機合成の開発<2024年度採択>

神戸 徹也

准教授

神戸 徹也

附属フューチャーイノベーションセンター/応用化学専攻

研究室HP

有機物からなる物質はこれまで石油資源を基に自在な合成手法が確立されてきました。一方で無機物質は高い安定性が魅力ですが、既存の手法で合成すると一般的に最安定の構造になることが新規材料の開発においては短所となっています。本研究ではこうした無機物質を精密に合成する新手法を開拓し、多彩な無機元素が発現する電子物性をナノ構造により引き出した新たな材料化学の発展を目指します。例えば、単原子層に構造制御して合成したボロフェン類縁体が無機物でありながら液晶機能を発現することを見出しています。こうした無機材料を様々に合成して機能解明することで、次世代の機能性無機材料を開拓していきます。

次世代リーダー教員